鍼灸師は1988年から国家資格になりました。その年代以降の鍼灸学生で経絡治療の名称を知らない人はいないでしょう。試験の問題に絡んでくるので、知らないとしたら、かなりの失点になります。

危険物の試験に例えるとガソリンの名称を知らない位に、あり得ないです。

日本で鍼灸を使って経絡、経穴を利用し体質を改善する方法で最も有名なのが経絡治療です。

整体と言って皆さんが思い付くのは恐らく、カイロプラティックじゃないですか?このカイロプラティックは存外古く1895年に創られています。これも国家試験に出ました。整体は国家資格ではありません。それどころかスラスト法禁止で厚生労働省に禁止されている手技の代表で詳しくは、厚生労働省のHPでも読んでみてください。

では経絡治療はというと意外に新しく1939年に経絡治療学会ができたので、そこかその少し前くらいになります。

この年代は試験にはでませんから、鍼灸資格保持者でも知っている人少ないと思います。多分、すごく古いと勘違いしている同業者は多いでしょうね。同業者=治療に興味あるわけではありませんので無理からぬ事です。

カイロプラクティックと経絡治療は派生が全然異なるので、カイロプラクティックしか知らない人に説明するとややこしくなります。

経絡治療を説明する前に歴史の授業で習った「廃仏毀釈」を思い出してください。

廃仏毀釈を簡単に言うと、江戸時代の技術や知識は明治維新以降かなり損失しました。しかし、この最中でもそれを守ろうとする勢力も居て、ギリギリ損失を免れたり、残った部分をレストアしてできたのが現在の日本刀であったり、経絡治療です。

カイロプラクティックからではなく、廃仏毀釈や日本刀から入って頂くと説明がかなり楽になります。

贅沢言うと弥生会や柳谷素霊先生に詳しい方でしたら、もっと説明が楽になりますし、岡部素道先生は経絡治療を創り、経絡治療と命名した人なので、できたら岡部素道先生について調査された論文が検索するといくつかヒットするので、それを読んでもらう方が早いです。鍼灸歴史上の偉人で最も有名な人なので同業者で知らない人はいないでしょう。

以下、少しマニアックな話し

経絡治療が1939年付近で想起されるのが医道の日本が発刊されたのが1938年で、ほぼ同時期なんですよ。

今でこそ医道の日本=鍼灸の情報誌と思われていますが、実は「どうしたら健康で長生きできるのか」をテーマにしていて手段はなんでも良かったんです。タイトルに鍼灸が入っていないのがそういう訳で、手段としては、最初は漢方薬が有力だったそうです。

漢方薬も鍼灸も代表的な場所として、北里大学で当時も今も研究されているので、我々使う側の人間がその是非を考察する必要はありません。専門の機関で専門の人選が既にややこしい部分は調べて、いい感じのシステムにしてあるわけです。(そこがちょっとやそっとの説明で、何とか伝わらないので医道の日本という情報誌が必要なのです。)ちなみに東大や京大もやってます。その辺りの人物はGHQの「マッカーサー旋風」で国家試験に出ます。興味があれば、検索して読んでみてください。

医道の日本は現在も存在します。検索すると普通に出てきます。

しかし、当初の目的は果たしたように思えます。今はネットで使い捨て滅菌ステンレス鍼も、良質もぐさも、それを使う為の知識も容易に手に入ります。訓練したければ専門学校が全国にあります。私が若い頃は、ネットが一般的ではなかったので、宝物を探すように本屋に足を踏み入れたものですが、今の専門学生からしたら物心ついた頃からネットが普及していて、道具を直接業者から仕入れたり、本屋巡りをするなんてのは、異国の話しみたいに聞こえるかもしれませんね。

何が言いたいかというと、「経絡治療について調べたければ、開発元の北里大学のHP調べて読んだらいいやん?」というそれだけの事です。天才の編み出した手法は、現在も北里大学で踏襲されとるんやで。